Weeklyコラム 前兆を捉える

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何事にも前兆がある。古人は、「霜が降るのは、やがて氷結の来る前兆である」等と表現した(中国古典『易経』には、「霜を履(ふ)みて堅氷至る」とある)。

この度の新型コロナ感染症も注意深く観察していれば、流行前に数々の前兆があったに違いない。同様に、自然災害やビジネス事故等も大抵は前兆があるものである。書物から例えれば、ある時二宮尊徳(金次郎)は、早春から気候不順が続き梅雨時に茄子の漬物を食したところ秋茄子の味がしたと言う。この前兆により、尊徳は天保の大飢饉を予想して、食物確保の準備を指導した(『二宮翁夜話』岩波文庫参照)。

過去、筆者がビジネスにおける危機の前兆として対応した事例をいくつか挙げる(販売業)。(1)来店客数は変わらないのに売上が急に下がった(購買比率が下がった)(2)店員が挨拶をしてもお客の反応が悪い。商品を話題にして素直な共感が得られない(3)なじみ客の来店客数と客単価が大きく下がった(4)特に店員の落ち度が目立たないのに苦情件数が増えている(5)売れ残る商品が目立ち、品切れの商品も発生している。このような前兆に気づいた場合、最も重要な事は迅速な決断と行動である。「自然に解消するだろう」「行動ははっきりしてから」「対策が難しい」等の態度が一番いけない。