増額分に延滞税発生しない 相続税で原判決を破棄―最高裁

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相続税について減額更正がされたあとに増額更正がされた場合に、増額更正によって増額された税額に係る部分に関し、相続税の法定納期限の翌日からその増額された税額の納期限までの期間に係る延滞税が発生するかどうかが争われた事案で最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、全員一致で発生しないと判断、発生するとした原判決を破棄し、第1審判決を取り消した。合わせて、上告人らが請求した延滞税の納付義務が存在しないことを確認した。

最高裁は、この場合、相続税の法定納期限の翌日から増額更正に係る差額の納期限までの期間については、国税通則法60条1項2号で延滞税の発生が予定されている延滞と評価すべき納付の不履行による未納付の国税に当たるものではないとし、延滞税は発生しないと解するのが相当だと認定。そのうえで、差額の納期限は23年6月30日であり、相続人は同月3日に差額を納付しているから、差額相当部分について期間に係る延滞税は発生しないと説示した。

原判決は、減額更正された場合、減額された税額に係る部分の具体的な納税義務は遡及的に消滅、その後に増額更正がされた場合には、増額された税額に係る部分について具体的な納税義務が新たに確定するとして、上告人らの請求を棄却した。

■参考:最高裁|延滞税納付債務不存在確認等請求事件|

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84689