Weeklyコラム 自己責任としての災い

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易に「地雷復」という卦〈か〉(卦は64通り)があり、その中に「災眚」(さいせい)という言葉がある。「災」とは自然のわざわい、「眚」とはみずから招くわざわいである。

この世の中には、人がどんなに注意しても必ずしも免れない地震・風雨・火災・事故等のわざわいがある。同時に、本人が自覚をすれば大いに防げるわざわいもある。例えば、一般に酒・タバコ・薬物等の害は、本人の自覚次第で決まるから「眚」である。また、飲食物・睡眠・運動・労働等は、適度な量や時間を守る事が重要である。中国の儒教思想では、「中庸の徳」(常に穏健な態度を保ちつつ、過不足なくバランス良い思考や行動が出来る事)が非常に尊重される。さて、商売上の「眚」には、例えばどんな事柄があるだろうか。

(1)明確な眚は、法や社会規範に反するような商品サービスの提供、及び役員や管理者の不正な行動等である(脱税、賄賂等)。(2)利益が商売の目的であっても、必要な経費の支出や設備の安全策等を怠り、従業員が安心して生活出来る処遇をしない。(3)「災」と「眚」の区別が難しい事柄としては、売上不振や経営破綻がある。市場調査や資金繰り計画等を怠った結果であれば「眚」になるだろうか。