被用者は使用者に求償できる 事業執行時の損害賠償―最高裁

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貨物運送会社に雇用され、荷物の運送業務に従事していた被用者が事業の執行としてトラックを運転中に交通事故を起こし、相手が死亡。相手の相続人2人に多額の損害賠償金を支払った。

上告人(被用者)が被上告人(会社)に対して求償金等の支払いを求める事案で最高裁第二小法廷は、被用者は使用者に求償できないとして上告人の請求を棄却した大阪高裁の判決を破棄、差し戻した。

最高裁は▽民法715条1項が規定する使用者責任について、使用者は事業の執行により損害を被った第三者に対する関係において損害賠償義務を負うだけでなく、被用者との関係においても損害の全部または一部を負担すべき場合がある▽使用者が第三者に対して使用者責任に基づく損害賠償義務を履行した場合には、使用者は諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上の限度内で被用者に求償できる。上記の場合と被用者が第三者の被った損害を賠償した場合とで、損害の負担について異なる結果となることは相当でない―などと説示。

被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、損害を賠償した場合には、被用者は諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について使用者に求償できると解すべきだとした。

■参考:最高裁判所|損害賠償請求事件(令和2年3月6日・第二小法廷・破棄差戻・東京高等裁判所)|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/list2?page=1&filter%5Brecent%5D=true