Weeklyコラム 学んだ危機を活かす

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新型コロナウイルス感染症で、日本中、世界中が混乱している。感染予防も大きな負担だが、経済的影響は東日本大震災のとき以上かもしれない。地震対策のような備えがほとんど無かった事が不思議である。

現在、公的支援等も受けながら、BCP(事業継続計画)策定が徐々に進行しているが、未策定の企業が相当ある。筆者も多くの中小企業に策定を提案してきたが、策定を実行した企業は2社だけである。多くの企業が日常の課題に追われ、近い将来起こるか否か不明の危機(大地震・風水害やPL事故等)に時間と金を使えないことが理由である。中小企業の苦しい実情はよくわかる。しかし、東日本大震災や今回の新型コロナウイルス感染症等を経験した後でも、同じ態度で良いのだろうか。

『論語』に、「生まれついてのもの知りは一番上だ。学んで知るのはその次ぎだ。ゆきづまって学ぶ人はまたその次ぎだ。ゆきづまっても学ぼうとしないのは、人民でも最も下等だ」とある(金谷治訳注、岩波文庫)。何かにゆきづまったら、苦しんで学んだ経験を活かして行動すべきという教えである。今は一日も早く新型コロナウイルス感染症が収束する事を切に願う。将来、学んだこれらの経験を活かし、BCP策定等を通じて危機管理意識の向上を目指して欲しい。