贈与があったとは認められない 処分を全部取り消す―審判所

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審査請求人の父の預金口座から請求人の預金口座へ入った資金について原処分庁が、請求人が父からの贈与によって取得したものとして贈与税の決定処分等をした。

請求人がそうした事実はなかったとして原処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、請求人が父の指示に基づき会議等に出席するための交通費等を支弁する目的のものだったと認められ、贈与があったと認めることはできないと判断、原処分の全部を取り消した。6月27日付裁決。

原処分庁は、両者間で金銭消費貸借契約が締結された事実などに照らすと、民法第649条《贈与》に規定する贈与契約の要件事実について黙示の合意があったなどと主張。

審判所は契約締結の事実は認められないとした上で、「資金移動に係る出入金の手続きは父または母が行っていた。請求人は父の指示により月1、2回程度の頻度で医療専門団体の会議に出席していた旨申述している。請求人の口座から交通費等の支払いがされていることなど考慮すれば、父は会議に出席した際の交通費等を支弁する目的で資金移動をしていたとみるのが自然。請求人に資金移動によって贈与と同様の経済的利益が生じていたと認めることはできないから、請求人は贈与により財産を取得したと認めることはできない」とした。

■参考:国税不服審判所|請求人の父(甲)の預金口座から請求人の預金口座に入金された資金は、甲から請求人への贈与があったと認めることはできないと判断した事例(全部取消・平成30年6月27日採決)|

http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0402040300.html#a115