Weeklyコラム 植えたものしかならない

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日頃、会社や商店の経営指導をしていて痛感する事に、「実行が伴わない努力は報われない」というものがある。

例えば、定食屋の経営改善で、お客が米の銘柄や炊き方が選択できるメニューを提案したとする。大抵は、「運営が面倒」「コストが高くなる」「お客からすぐ飽きられる」等の理由で拒否される。これまでと違う行動を要する提案は、「成果が未定だから」として拒否する。筆者は二宮尊徳(金次郎)の指導理念が好きである。特に、天道(自然の恩恵や自然災害等)と人道(人の努力や工夫の働き)のバランスをとる重要性に共感する。弟子が残した書物『二宮翁夜話』(福住正兄筆記、佐々井信太郎校訂、岩波文庫参照)がある。その中に、「米を蒔けば、米がはえ麦を蒔けば麦が実る」「ナスもなれなれと言ってもならず、肥料をやれば必ずなる」等とある。

商売は経営者の努力と関係無い、景気変動、自然災害、立地条件の変化、お客の嗜好傾向等に大きく左右される。必死に行動しても報われない事もある。つい、迅速な行動を怠りがちである。しかし、棚から牡丹餅を期待しても、商売の成果は、植えたものしかならないことを実感するのではなかろうか。商売の結果は、各人の行動の積み重ねに比例すると言っても良いだろう。