原処分庁の主張は前提欠く 処分全部取り消す―審判所

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審査請求人が法人税の所得金額の計算上、益金の額に算入した不動産開発に関する開発権の譲渡代金について原処分庁が、事実を仮装して計上時期を繰り延べたとして法人税の青色申告の承認の取り消し処分と法人税等の更正処分等をした。

請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、処分の前提となる開発権譲渡契約書の記載は、譲渡対価の支払い条件等を定めたもので、条件が成就されているという趣旨ではないと裁決。原処分庁の処分を全部取り消した。3月14日付。原処分庁は収益計上時期について▽契約書等には開発権が決済日前に適法かつ有効に取引先に移転し取得され承継手続きがすべて完了している旨記載されている▽取引先が市から地位の承継承認通知書の交付を受けた日が、取引先が開発権を使用収益できることとなった日―とし、開発権は取引先が通知書の交付を受けた日に譲渡された旨主張。

審判所は、譲渡に係る収入すべき権利が確定する時期は、請求人が契約書に定められた物または権利のすべてを引き渡し、取引先に移転または取得させた時と認められるが、請求人と取引先との清算合意書の締結時までそのすべてが引き渡されておらず、清算合意書が締結された日に収入すべき権利が確定したと認められるとした。

■参考:国税不服審判所|不動産開発権譲渡について、収益計上時期を繰り延べた事実はないとした例(全部取消し・平成31年3月14日裁決)

http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0201170000.html#a114