相続時の収去費用は控除可能か 確実の認否を巡って-審判所

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相続した建物の収去費用が債務として控除されなかったため行った相続税の更正の請求に対し、収去義務は相続開始後に確定したもので確実と認められる債務ではないとした処分が下され、請求人らはその取消しを求める審査請求をした。争点は、収去費用が債務として相続税法第14条第1項「確実と認められる」に該当するか否か、該当する場合は控除すべき額はいくらか。

被相続人Kは、地主Mが所有する宅地について30年間の賃貸借契約を締結し、その土地上に5階建の店舗及び共同住宅を新築。ところが途中から賃料の滞納が続き、支払の催告を重ねた後にMは借地契約解除の意思表示をした。Mの死亡後、土地を相続したPはKを被告とし、建物を収去して土地を明け渡し、解除の日までの未払賃料及び明渡しまでの賃料相当損害金の支払等を求める訴えを地裁に提起していた。

審判所は、建物を収去し土地を明け渡す債務は相続開始日に現に存しその履行を免れないものであり、「確実と認められる」に該当すると判断。また収去費用の基となったR社の見積は根拠が不明な上、追加工事も要した。別途見積を依頼していたU社の工事は経済合理性にかない、数量・単価も詳細で正確と認められ、U社の見積額を控除すべき債務の額とするのが相当とした。

■参考:被相続人の生前に解除された借地契約の約定請求人らが負う建物収去して土地を明け渡す債務は、債務控除の対象(一部取消し・平成30年7月9日裁決)|

http://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0504070000.html#a112