不正の利益を得る目的あった 商品企画情報の複製―上告棄却

LINEで送る
[`yahoo` not found]

自動車の開発・製造・売買等を業とするA自動車に勤務していた被告人が、社の商品企画に関する情報などを社のコンピューターから取得し複製を作成。営業秘密の管理に係る任務に背き、秘密を領得したとして不正競争防止法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」で有罪となった事案で最高裁第二小法廷は、弁護人の上告趣意は、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって刑訴法405条の上告理由に当たらないとして上告を棄却した。

第1審判決は各データファイルの複製の作成につき、被告人にはこれらの情報を転職先等で直接的または間接的に参考にして活用しようとしたなど不正の利益を得る目的があったと認め、各犯罪事実を認定。原判決もこれを是認した。

最高裁は▽被告人は勤務先を退職し、同業他社へ転職する直前に、勤務先の営業秘密である各データファイルを私物のハードディスクに複製した▽当該複製は勤務先の業務遂行の目的によるものではなく、その他の正当な目的の存在をうかがわせる事情もない。被告人自身または転職先その他の勤務先以外の第三者のために退職後に利用することを目的としたものだったことは合理的に推認できる―と断定。原判断は正当であるとし、裁判官全員一致で上告を棄却した。

■参考:最高裁判所|不正競争防止法違反被告事件(平成30年12月3日・第二小法廷・棄却)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88168