金融庁、地域銀の業績に危機感 信用コスト急増を懸念

LINEで送る
[`yahoo` not found]

金融庁が地域銀行の今後の業績に危機感を強めている。一部報道によると、同庁は地域銀に対して金融仲介機能の強化を求めるとともに、経営改革を支えるガバナンスにもメスを入れ、早めの対応を促す観点から早期警戒制度を見直す考えだ。

その背景には地域銀の信用コスト急増リスクの高まりがある。2017年度の信用コスト率は3ベーシスポイント(1bp=0.01%)と歴史的な低水準で推移したが、同率が過去15年平均に近い20bp上昇すれば、地域銀106行(埼玉りそなを含む)のうち21行で信用コストがコア業務純益(投資信託解約益控除後ベース)を超え、リーマン・ショック級の危機が起これば82行で上回る。金融仲介機能の強化については、9月に公表した18事務年度の行政方針を基に、10年近く真正面からノウハウを磨いた地域銀は安定収益を維持できる傾向が強いという認識がある。

金融仲介が収益につながるには長い期間を要するが、同庁は地域銀が本気で取り組んでいるなら見守る構え。今後、社外取締役と同庁が意見交換する手法を地域銀にも導入、地域銀にも形式的な取締役会から脱し、戦略の方向性を議論できる体制づくりを促す。さらに、早期警戒制度の見直しと合わせ、深刻な事態を見据えた監督対応も検討する。