減らない職場での熱中症 夏を控えさらなる注意が必要に

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高温多湿な環境下で体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻すると発症する熱中症。めまいや吐き気だけではなく、意識障害や痙攣、場合によっては死に至る危険な疾病だ。平成22年には職場における熱中症で47人もの死亡者が出ている。厚生労働省は平成29年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」を公表した。29年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は544人となり、対前年比82人増加した。また、そのうち死亡者は14人で、2人増える結果となった。

熱中症については、一般的には知識や対策法について広がりつつあるが、それでも実際の死傷者数は減っていないのが現実だ。実際、熱中症による死傷者は平成23年以降、毎年400~500人台で高止まりしている。業種別に見ると、熱中症の死傷者数がもっとも多いのは建設業、ついで製造業だ。死亡者数も14人中8人で建設業がもっとも多い。熱中症で死亡した14人の状況をみると、暑さ指数の測定を行っていない、計画的な熱への順化期間が設定されていない、事業者が水分や塩分の準備をしていない、健康診断を行っていないといった基本的な対策が取られていないことが主原因となっている。