民法167条2項を適用すべし 原審の判断は間違い―最高裁

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金銭消費貸借取引の担保として建物の持ち分について根抵当権を設定、仮登記した。その後、賃借人が破産、破産手続き開始の決定を受けた。これにより根抵当権の担保すべき元本が確定。根抵当権の被担保債権は賃貸人の賃借人に対する債権(貸金債権)となった。このあと、賃借人は免責許可の決定を受け、貸金債権も同決定の効力を受けることになった。

こうした経緯を背景に、賃借人が上告人、賃貸人が被上告人となり、上告人が貸金債権につき消滅時効が完成、根抵当権は消滅したと主張し、被上告人に対し仮登記の抹消登記手続きを求める事案で最高裁第二小法廷は原審に続き上告を棄却した。

ただ、結論は同じでも、原審の判断には法令の解釈適用の誤りがあると指摘した。原審は民法396条を適用。最高裁は、抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には、396条は適用されず、債務者および抵当権設定者に対する関係においても、抵当権自体が民法167条2項所定の20年の消滅時効にかかると解するのが相当であり、担保すべき元本が確定した根抵当権についても同様に当てはまると説示。この事案では、根抵当権を行使することができる時から20年を経過していないのは明らかで、上告人の請求には理由がないとした。

■参考:最高裁判所|建物根抵当権設定仮登記抹消登記手続請求事件・平成30年2月23日・第二小法廷・棄却 |

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87485