売買価格決定の申立てできず 原審に続き抗告を棄却―最高裁

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会社法179条1項の特別支配株主となった利害関係参加人が株式売渡請求の公告後、抗告人に株式を譲渡。同条の4第1項1号の通知または同号および社債、株式等の振替に関する法律161条2項の公告がされた後、抗告人が会社法179条の8第1項に基づく売買価格の決定の申立てをしたところ、できないとされた。その可否が争われた事案で最高裁第二小法廷は、できないとした原審の判断は是認できるとし、抗告を棄却した。

最高裁は、179条の8第1項の売買価格決定申立て制度の趣旨は、通知または公告により、その時点での対象会社の株主が、その意思にかかわらず定められた対価の額で株式を売り渡すことになるため、そのような株主であって対価の額に不服がある者に対し適正な対価を得る機会を与えることにあると解されるとし、通知または公告により株式を売り渡すことになることが確定した後に売渡株式を譲り受けた者は、 同項による保護の対象として想定されていないと説示。よって通知または公告がされた後に売渡株式を譲り受けた者は、売買価格決定の申立てをすることはできないというべきであり、抗告人は、公告後に株式を譲り受けた者であるから、売買価格決定の申立てをすることができないとした。

■参考:最高裁判所|売渡株式等の売買価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定(平成29年8月30日・最高裁判所第二小法廷)|

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87040