物納の需要低下止まらず 税制改正の緩和策の影響は?

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物納の利用が低迷している。平成27年度の申請件数は130件、許可されたのが69件となった。直近のピーク時(平成11年度)には申請件数で7,000件超、許可件数は5,000件弱にも上っていた。平成4年に実施された土地の評価の適正化や、バブル崩壊に伴う地価の下落などを背景に利用が急増。しかし許可までに長期間を要する、許可基準が明確でない、市場価値の低い財産から申請をする納税者がいる等の問題を抱えたため、18年度税制改正で標準的な処理期間や物納不適格財産の内容が法令上明記され、手続等が一新された。これを境に利用が落ち込んで19年度に申請が千件を下回り、26年度以降では百件台となっている。

29年度税制改正では相続税の物納制度において、上場株式等が第1順位に変更された。相続財産となった上場株式等の価格が相続時から申告期限までの間に急落した場合、納税資金を確保できなくなる事態への対応策として制度が拡充されたもの。また投資証券等のうち上場されているもの(J-REIT等)が物納財産の範囲に加えられ、第1順位となった。ただ国税は金銭納付が原則であり、物納の要件が緩和されたわけではなく、物納制度は例外として存在することに変わりはない。