Weeklyコラム 小さく生んで育てる

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尺取り虫は身を屈して、次にその分だけ身を伸ばして着実に進んで行く。観察してみると、予想外に早く進むものだ。

知人のA氏(店舗内装業)は、長年の会社勤務の後(施工管理が職務)、相続で資金を得たことを機会に独立開業した。最初から自宅外に事務所を借り、従業員5人を雇って規模の拡大を目指すことにした。筆者はある会合で久しぶりに会った時にこの話を聞いたが、大変危ういものを感じた。事務所・車・機械設備等や人の採用は考えているが、どのように収益を獲得するのか、収支バランスは大丈夫か等の計画が用意されていなかった(A氏によると、これまで一緒に働いてきた同僚や取引先が協力することを約束しているから心配は無いと言う)。2年後、A氏から経営相談を受けた。従業員や設備の規模に見合った売上高が無く、仕事を獲得する営業活動が出来ないと言う。A氏の人脈やこれまでの業績を確認して顧客開拓戦略を助言するとともに、事務所を自宅に移したりして事業規模を縮小した。

創業は、大きな夢や強い意欲があるから実現する。しかし必ず経営ビジョン(規模・事業分野・運営組織の展望)を持ち、数年間の経営計画とその裏付けを準備しなければならない。最初は小さな成功を重ねて、拡大は実績に応じて実行する。