公正証書不実記録罪は成立せず 原判決を破棄―最高裁

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暴力団員の身代わりの形で行った土地取引等について、売買契約を登記原因とする所有権移転登記等の申請をして当該登記等をさせた行為につき電磁的公正証書原本不実記録罪が成立するか否かが争われた事件で最高裁第一小法廷は、被告人に不実記録罪および同供用罪の成立を認めた原判決を破棄し、各控訴を棄却した。

被告人はA社の代表取締役。公訴事実として土地取引に関する第1・第2、土地の上に建築された建物に関する第3・第4があり、第1審は第3・第4について有罪、第1・第2については無罪を言い渡した。原判決は第1・第2についても罪の成立を認めた。

最高裁は、各土地の所有権が各売買を原因としてA社に移転したことなどを内容とする各登記は、当該不動産に係る民事実体法上の物権変動の過程を忠実に反映したものであるから、これに係る申請が虚偽の申し立てであるとはいえず、また、当該登記が不実の記録であるともいえないと判断。刑訴法411条1号、3号により原判決を破棄。第1審判決は被告人を懲役1年、3年間執行猶予に処した量刑判断を含め、これを維持するのが相当と判決した。また検察官および被告人の各控訴は理由がなくなるとして、同法413条ただし書、414条、396条によりこれらを棄却した。

■参考:最高裁判所|電磁的公正証書原本不実記録,同供用被告事件(平成28年12月5日・最高裁判所第一小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86313