Weeklyコラム 成長スピードの差

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花実はついた蕾を全部咲かせたり、果実を全部ならせたりすれば、木が疲れてやがて良い花実をつけなくなるものである。同様に、人の幸運も次々にすべてを掴もうとすれば早く消費してしまい、やがて幸運の種が尽きてしまう等と言われる。以下は、筆者が25年前に指導した2社のドラッグストアチェーンの経験である。

X社は当時10店を経営しながら、自己資金によって毎年1~2店を新規出店していた。Y社は15店を経営しながら、良い店舗立地さえ確保出来れば借入金によって次々に出店していた。X社も店舗数と売上高が5年で5割伸びたが、Y社の規模は5年で3倍以上に急成長した。現在もXチェーンは15店を堅実に経営している。Yチェーンはその後40店程になった時に成長が止まり、結局大手チェーンに吸収合併されてしまった。

X社とY社のどちらの経営の方が優秀であるかは一概に断定出来ない。しかし、成長スピードの差によってその後の運命が全く違ったものになった。売上の成長スピードは、景況の良悪や経営者の投資方針等によって大きく異なる。長期的発展を願うならば、やや抑えた成長スピードを計画する方が堅実であろう。売上高の拡大のみに目を奪われ、特に経常利益の増加を伴わない経営をすることは非常に危険である。