区分所有の固定資産税算定方法 一転、市が勝訴-札幌高裁

LINEで送る
[`yahoo` not found]

区分所有建物であるマンションの固定資産税評価額の算定上、異なる経年減点補正率を乗じ各部分の価額を合算して課税を行った札幌市を地方税法352条1項に反するなどと納税者が訴えた事件で、原告が勝訴した原審から一転、札幌高裁は市の算定方法を認めた。高裁の判断は、以下の通り。

固定資産評価基準では、1棟の家屋が複数の用途を有し、1棟単位で補正率を適用することが課税の均衡上問題がある場合は部分ごとの補正率を使用するなど、例外的に適切で合理的な評価方法を選択することも可能と定めており、市町村長の裁量をもってその必要性を判断すべきと解される。

地方税法上、区分所有家屋は「各部を個別に評価すること」を原則としながら、352条1項では、1棟の家屋として評価し、税額を各区分所有者に按分する簡易な方法を許容している。ただ、これ以外の方法を許さない趣旨とは解されず、市の算定が同項に反するとは言えない。本件建物は1つの事務所部分と32の住居部分で構成され構造上も明確に区分できるため、上記の方式及び市長がその方式を選択したことは合理的であり、本件登録価格は適法である。原告は最高裁に上告及び上告受理申し立てを行っており、結果によっては今後の課税実務を変更する必要性も生じてくる。