配偶者控除制度の行方 数年かけ改革で検討

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昭和36年に創設された配偶者控除(以下、制度)を見直そうとの機運が高まっている。平成9年以降、共働き世帯が片働き世帯を大きく上回る状況が背景にある。一方で、制度の存在が女性の就労を抑制する一因になっているとの指摘もあり、26年11月に政府税調は「働き方の選択に対して中立的な税制の構築をはじめとする個人所得課税改革に関する論点整理」、27年11月に「経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理」をまとめ、以下の見直し案を提示している。

1)制度の廃止、2)制度の適用に所得制限を設ける、3)制度に代えて、配偶者の所得の計算で控除しきれなかった基礎控除を納税者本人に移転する仕組み(移転的基礎控除)の導入、4)移転的基礎控除の導入・税額控除化、5)「夫婦世帯」を対象とする新たな控除の導入、の5案で、いずれも並行して子育て支援の拡充を行うというもの。

創設から半世紀以上が経つ制度を時代に合わせて見直すことは必要であるが、制度の適用者数は約1500万人(うち、配偶者特別控除約100万人)、適用による減税額は約6000億円に上る。見直しを行えば増税世帯は相当数に及ぶとされ、また伝統的な家族観が崩壊するとの声も上がっていることから、議論の紛糾も予想される。