最低賃金引上げ決着 経営的には大きな課題に

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厚生労働省の中央最低賃金審議会2016年度の地域別最低賃金の目安を決めた。安倍首相が経済財政諮問会議において示した3%(24円)の引上げとなり、最低賃金引上げ額の目安を時給で提示するようになった2002年以降、最高の引上げ幅となった。各企業では最終的に確定する最低賃金額を順守せざるを得ず、現在、パートやアルバイトの時給を最低賃金としている企業では3%程度の引上げを行う必要がある。

一方、最低賃金を上回ってはいるもののそれほど時給が高くない業種や職種においては、3%という数字が独り歩きする懸念が指摘されている。自分たちの時給も同様に3%程度の引上げがなされるという期待が先行する可能性があるからだ。

2016年における従業員30人未満の企業の賃金の上昇率は1.1%、連合が発表した春闘の最終回答集計結果によると、定期昇給相当分を含む5,297労働組合の賃金引上げ率は平均で2%にとどまっている。それだけ今回の3%という数字はインパクトが大きいと言えるだろう。パートやアルバイトの時給を一律で3%引き上げる余力のある企業は多くないはずだ。今回の3%ショックをいかに軟着陸させるか、企業にとって大きな経営課題となる。