Weeklyコラム 狙いどころを定める

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何事にも報われる努力と報われないそれとがある。その分かれ目は何処にあるのか。剣豪小説で有名だった柴田練三郎著『一の太刀』(集英社文庫『梅一枝』所収)に、こんな場面がある。塚原卜伝が「卜伝流」を工夫する基になった話である。

ある日、石工が巨石の凹凸を鎚で簡単に割揃えたり、切り崩したりしている姿を見た。卜伝も同じことをやってみたがうまく割れない。石工は、「どんな石にも、目がございます。そこに、鎚をあてれば割れ、割れた石にも目があり、目、目、と割って形をととのえるのでございます」と言う。卜伝は、翻然と相手を倒す「卜伝流」の極意を悟った。

A氏は花屋を開業する時、商工会指導員から独自の経営ビジョンを持つことを指導された。特に主要顧客の設定とその獲得手法を使って目標に向かうことが大切と言われた(狙いどころを定める)。客層設定に悩んだA氏は、繁盛している10店の花屋を見て回った。繁盛店は客と店員の対話が活発な店であった。客の質問に丁寧に答えたり、花選びのアドバイスを的確にしたりする店員がいる店が繁盛していた。A氏にとって、繁盛店作りの「目」とは、贈物にする花選びアドバイスやデザイン豊富なメッセージカードの提供等によって店舗を差別化、お客の心を得ることである。