繰延税金資産の回収可能性案 適用時期や注記で意見が割れる

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企業会計基準委員会は、7月27日まで意見募集を行っていた「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」に寄せられたコメントについて検討を開始している。適用指針案に対しては基本的に支持するとの意見が多数を占めているものの、細部では対立する意見も見受けられる。

例えば、注記事項に関しては、企業と財務諸表利用者で大きく意見が分かれた。アナリスト協会は現行の注記だけでは経営者がどのように回収可能性を判断したかが理解できないため不十分であるとする一方、経団連や全銀協では、注記事項の追加は国際的な開示水準やコスト・ベネフィットの観点から慎重に対応すべきとしている。

また、適用時期に関しては企業と監査人との間で意見が対立している。両者ともに強制適用時期については同意しているものの、早期適用(平成28年3月期から適用)に関しては監査人側が反対している。一方、適用初年度の取扱い(会計方針の変更として取扱い、適用初年度の期首の影響額を利益剰余金等に加減する)については、経団連や全銀協などの企業側が繰延税金資産の回収可能性に関する会計処理は、実態としては見積り方法の変更であることを考慮すると、「会計上の見積りの変更」と同様に取り扱うことが適当であるとしている。