Weeklyコラム 経営計画の目標と限界

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経営指導者が会社の経営計画策定支援に際して迷うことが、その数値をどのような施策で獲得するかである。その迷いや悩みは、元々業績が良い会社であっても生じる。過去、目標を設定して計画を達成したような会社は、別の何かを求めて現状には満足しないからである。

モンテーニュ『エセー』(原二郎訳、筑摩書房)に、次の言葉がある。「欲しいものが手にはいらぬうちは、そのものが最上に見える。だが、一度これを獲得すれば、また別のものが欲しくなる。こうして慾望は変わることがない」

X社(農産物加工、卸業)は、A社長が事業承継してから売上を倍増させ、利益も大幅に上昇した。Aは先代が30年掛けて構築した受注体制(特定企業から受注製造)を根本から見直し、見込み生産に切り替えて営業要員を増強した。先代は反対したが、Aは強気で押切り、売上規模は大きく発展した。Aの強気は加速し、更なる発展を目論んで営業エリアを急拡大したが、それが裏目に。資金繰りに行き詰ってしまった。

筆者は計画策定支援に際し、目標設定は「背伸びは良いが、地から足が離れないようにしましょう」と言う。経営者の描く目標値とそれを実現する経営戦略は、本当に会社の発展に有効かつ必須であるかを検証しながら進めることが大切である。